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捕鯨の対象となった鯨

@背美鯨(勢美鯨):背鰭が無くずんぐりした形態の体長17b程の髭鯨。世界的にも主
要な捕獲対象だったが、古式捕鯨業時代最も重要な対象で、前期から突取捕鯨法で盛んに
取られた。動きが鈍い、潜るのも浅い、死んでも浮いている等と取り易く、皮脂層も厚い
ため油も多く取れると良い所づくめだった。しかし前期後半には乱獲のためか数が減少し
たようで、後期に入る幕末には欧米捕鯨船の活動によって激減している。

A座頭鯨(雑頭鯨):長い胸鰭が特徴の体長13b程の髭鯨。背美鯨に次ぐ対象であるが、
泳ぎはより速く、深く潜るので捕獲は難しく、これを捕獲するために網掛突取捕鯨法が考
案されたと考えられる。古式捕鯨業時代中期の主要対象で後期には減少傾向にあったが、
近代捕鯨業時代前期に入ると著しく減少した。

B白長須鯨・長須鯨:前者は体長26b程、後者は同22b程のすらりとした髭鯨。往古
は白長須鯨だけでなく鰯鯨・ニタリ鯨なども全て長須鯨として勘定された可能性がある。
座頭鯨よりさらに速く泳ぎ、深く潜り、その上音で脅かす事が出来ないので、網掛突取捕
鯨法でも捕獲は容易でなかったが、一方で巨大であるが脂肪分が少なく、労力の割には報
われない対象だった。しかし後期には個体数が多く残るこれらの鯨の捕獲を目的として、
網掛突取捕鯨法の改良や銃殺、砲殺捕鯨の導入が図られた。近代捕鯨業時代にノルウェー
式砲殺捕鯨法の主要対象となったため数は激減した。

C克鯨(児鯨、青鷺):体長14b程の髭鯨。しばしば湾内にも入ってくる鯨のため、大
村秀雄氏は、古式捕鯨業時代の始めに伊勢湾・三河湾で取られた鯨はこれでなかろうかと
推測している。音にも驚かず性質も荒いため、網組でも専ら突取捕鯨法で取った。朝鮮半島東岸
から西海に回遊するが、近代捕鯨業時代前期に朝鮮海域で盛んに取られ、数は激減した。

D抹香鯨:頭でっかちの形状の体長15b程の歯鯨。紀伊半島周辺漁場では昔から取られ
たが、深く潜れる反面、浮上時間も長く、死後も浮いている良い獲物だった。紀州ではこ
の鯨を捕獲対象にしているため、網組になっても突組の頃と同様多数の銛を搭載し、突取
法のみで鯨を取る構えをしていた。欧米の母船突取捕鯨が最重要の対象としていた。

E槌鯨:尖った口吻を持つ体長12b程の小型の歯鯨。古式捕鯨業時代から安房漁場の主
な捕獲対象だったが、沖合を回遊するため網掛突取捕鯨法には馴染まず、突取捕鯨法のみ
で取られた。近代捕鯨業時代以降も各種砲殺捕鯨法で取られ、現在も捕獲が続いている。

F鰯鯨・ニタリ鯨:ともに体長14b程の髭鯨で、前者は太平洋岸の寒い海に、後者は対
馬〜山口県長門市辺りから南の暖かい海に多いという。捕獲が本格化するのは近代捕鯨業時
代後期になってからである。

Gミンク鯨:体長8b程の小型の髭鯨のため、従来省みられなかったが、昭和初期以降小
型沿岸砲殺捕鯨の対象となり、終戦直後頃には特に沢山捕獲された。なお南氷洋における
母船砲殺捕鯨でも終わり頃には主要対象となり、現在も調査捕鯨の目的で捕獲が続く。

Hゴンドウ鯨(巨頭鯨):オキゴンドウやコビレゴンドウ等を包括して呼んでいるようで、
体長5b程の小型の歯鯨で群れをなして泳ぎ、紀伊半島周辺漁場では昔から取られていた。
近代捕鯨業時代に入ると砲殺捕鯨で取られるようになり、最近も断切網で捕獲されている
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